持っているだけで品が漂う、昔ながらの伝統的なつげ櫛。
髪に良いことでも有名ですね。
髪を傷めやすく味気ないプラスチック製の櫛よりも、品質にこだわり丁寧に作られたつげ櫛の中から自分に合う一本を見つけて、長く大事に使っていきたいと考える人も多いと思います。
実は、つげ櫛といってもピンからキリまで様々なのです。
なぜなら、木の品質や施された細工によっても値段が大きく変わりますし、安いものなら100均でも手に入ってしまうからです。
この記事では、つげ櫛の魅力、自分に合ったつげ櫛の選び方、簡単にできるお手入れの方法を紹介します。
読み終わる頃には、
- なぜつげの木が使われているの?
- つげ櫛にはどんな効果があるの?
- 自分に合うつげ櫛の選び方
- お手軽で簡単!つげ櫛のお手入れの方法
がわかるようになっているはずです。
一生大切にできるつげ櫛を選ぶことができれば、毎日髪をとくたびに幸せな気持ちになれますよ!
ざっと見出し
つげ櫛とは?
つげ櫛とは、つげの木から作られた櫛のことです。
そこまでは誰でもわかると思うのですが、では「つげの木」とは一体どんな木なのでしょうか?
わからなかったので調べてみました!
つげという木
どうして「つげの木」が櫛の材料に選ばれたのか、気になるところですよね。
他の木よりもつげが良い理由が何かあるはずです。
ウィキペディアに、以下の説明が載っていました。
- 主に本州の関東以西、四国、九州の屋久島以北に自生する
- 樹高は通常1-3 m、高いもので4 mほどになるが、稀に10 mまで成長するものもある
- 成長に時間が掛かるツゲの材木は、木目が細かく緻密で、加工後の狂いが生じにくい。
- 乾燥後の比重は0.8で硬く、黄色みを帯びて美しい
- こうした特徴により、古来、細工物の材料として親しまれ、工芸品・美術品としての価値があるとみなされている
- とりわけ日本で重用されたのが櫛である
引用元:wikipedia(記事本文から必要部分のみ抜粋)
まとめると、
- 木目が細かいから硬くて割れにくいところが櫛に向いている
- しかも色もきれいで日本の工芸品に向いている
ということですね!
つまり、つげの櫛は丈夫で美しいので、昔から重宝されてきたということです。
木がもろいと細かい彫刻を施すことができないけれど、つげの木は丈夫なので細かい細工ができる。そのため美しい工芸品に使われることが多かった。
理由を知ると、つげの木が材料として選ばれたことに納得できると思います。
特に鹿児島産のつげの木は品質が良く、
「薩摩つげ」
と呼ばれて最高級品として扱われています。
つげ櫛には良い効果がいっぱい!

つげ櫛には、
- 髪の毛にツヤが出る
- 静電気が起こりにくい
- 頭皮のマッサージになる
- マッサージ効果で血行が良くなり、毛根が強くなる
- つげ櫛の油分で髪や頭皮の乾燥を防げる(フケ、かゆみ、切れ毛、枝毛の予防)
などの効果があります。
こうして見てみると、つげ櫛ってすごいと思いませんか?!
ただいつもと同じように髪をとかすだけで、これだけたくさんの美髪効果が得られるのです。
つげ櫛は、髪と頭皮にとって良いことばかり。
使わない理由がありません!
実際に使ってみて私が感じたことは、
- いきなり劇的に髪が美しくなるわけではない
- 静電気は起こりにくい
- 頭皮への当たりがソフトで気持ちいい
- 髪をとくたびに落ち着いた気分になれる
- 好みの油を染み込ませておくと、使う度に良い香りがする
- 持っているだけで満足感がある
さすがに使い始めた瞬間髪がツヤツヤ!ということにはならないのですが、髪をとかすだけで櫛の油分が髪に少しずつ移っていきます。
とかすたびに髪に潤いや栄養が補給されるのは嬉しいですよね!
いつもより髪の毛のまとまりがいいな、という程度はすぐに実感できると思います。
プラスチックの櫛やブラシに比べて静電気が起きないのもすごいところです。
そしてつげ櫛の効果として私が伝えたいことは、
つげ櫛は心を癒してくれる効果が大きい
ということです。
つげ櫛で髪をとく時のスーッという音がとても上品で、満たされた気持ちになるんです。
お昼休みの化粧直しの時など、つげ櫛をスッと出して使っていたらきっと上品な感じがしますよね。
お手軽に上品さを味わえるのもつげ櫛の良いところ。
お仕事中にイライラした時に、ちょっと席を立ってつげ櫛で髪をとく。
そうすると一旦気持ちがリセットされて、落ち着きと冷静さを取り戻せます。
つげ櫛を使うと、自分の中にある品が引き出されるのです。
●つげ櫛の良いところ、残念なところ

先ほど書いたつげ櫛の効果と重複することもあるのですが、以下につげ櫛の良いところを書いてみます。
- 静電気が起こりにくい
- 頭皮に優しい
- つげ櫛の油で髪が潤う
- 良い香りの油を染み込ませると、櫛から良い香りがする
- 使っているだけで上品な気持ちになれる
- 長く使える
- 使うほど馴染んで、櫛自体もきれいな飴色に変化する
- ケースを選ぶ楽しみがある
- プレゼントにも最適
私自身、誕生日に祖母からつげ櫛をプレゼントしてもらったのが「初めてのつげ櫛」でした。
流行り廃りに左右されない、長く使える良いものをプレゼントすると相手も喜んでくれますし、あなたのことを「使う人の気持ちを考えてプレゼントを選べる人なんだな」と思いますよね。
さて、つげ櫛の良さは既にたくさん紹介してきたので、次に残念なところを紹介しますね。
- 品質の良いものは値段が高い
- 歯が折れてしまったときの精神的ダメージが大きい
- 数ヶ月に一度 お手入れが必要
値段に関してはピンキリですが、職人さんが作ったもの安くても5千円くらいします。
良いつげ櫛はどうしても値段が高いですね。
サイズの大きいものや彫刻の模様がついているものは、更に値段が上がります。
そんな高価なつげ櫛。
櫛の歯は一度折れてしまうと修復できないので、歯が折れたり汚れたりしないよう、専用のケースに入れておくと安心です。
可愛いケースがたくさん売っているので、ケースを選ぶのもつげ櫛を持つ上で楽しみのひとつになりますよ。
そしておそらく、つげ櫛を買うのを躊躇している人にとってネックになっているのはこれだと思うんですが・・・
つげ櫛にはメンテナンスが必要です。
そう聞いただけで「めんどくさすぎて私には無理!」と思ってしまう人も多いのではないでしょうか。
実際は、メンテナンスと言っても油につけて放置しておくだけなので、たいして手間はかからないのです。
ではさっそくお手入れの方法を紹介します。
たったこれだけ?と思うはずですので、見てみてくださいね!
●つげ櫛のお手入れの仕方

つげ櫛のお手入れはとても簡単です。
しかも頻度は1ヶ月に1回で充分。
お店によっては、3〜6ヶ月に1回で大丈夫と案内されることもあります。
いずれにせよ、たまにお手入れするだけで良いということですね。
私はつげ櫛のツヤがなくなったときや、櫛の通りが悪くなったタイミングでお手入れしています。
- ビニール袋
- 椿油(他にもあんず油など、純度の高い油ならOK)
- ティッシュ
- 歯ブラシ
ビニール袋がない場合は、ラップや平たいお皿でも大丈夫です。
- つげ櫛を袋に入れ、櫛全体に油をつける
- 20〜30分放置する
- 歯の間に汚れが溜まっていたら、歯ブラシで油ごと掻き出す
- つげ櫛を取り出して、ティッシュで油を拭き取る
時間があるときは放置する時間を長めにすると、櫛に油がよく染み込むので長持ちします。
4時間くらいで充分です。
オススメの油
油を用意しろと言われても、どんな油が良いのかわからない方もいると思います。(私が最初の頃そうでした。。)
一番オーソドックスなのは、余計なものが入っていない純度100%の椿油です。
ネットで買えますし、たいていドラッグストアで買うよりも安いです。
ちなみに私はあんずの香りが好きなので、あんず油を櫛に染み込ませています。
こちらも純度100%ですね。
30mlと60ml入りがあるので、香りが気になる方はまずは小さいボトルで試してみるのが良いですね。
ゆず油も爽やかな良い香りがするのでオススメです。
こちらは30mlのボトルを見つけられなかったのですが、香りをイメージしやすいので、大きめのボトルを買っても失敗することはなさそうです。
髪からほんのりゆずの香りが漂いますよ〜
ゆず好きな方はぜひ!
つげ櫛を使うときに注意したい 3つのこと

つげ櫛を使う上で、注意したいポイントが 3つあります。
- 髪が乾いた状態で使う(つげ櫛は水に弱い)
- 持ち歩く時は専用のケースに入れる(歯が欠けないように)
- つげ櫛のツヤがなくなってきたら、油につけて手入れする
つげ櫛は水に弱いので、髪が乾いた状態で使いましょう。
そして持ち歩くときはケースに入れておくことで、バッグの中で折れたり欠けたりするのを防げます。
また、つげ櫛は油が足りなくなると静電気が起きやすくなります。
乾燥することでせっかくの効果が半減してしまうので、時々お手入れするのがつげ櫛を長く使う秘訣です。
大事に使えば一生モノです。
色の変化を楽しみつつ、ずっと使って行きたいものですね。
自分に合うつげ櫛の選び方

初めてつげ櫛を買う方の中には、つげ櫛の形がいろいろあって何を選べば良いのかわからない!という方もいらっしゃると思います。
失敗しない櫛選びの基準は以下の通りですので、参考にしてみてください。
【つげ櫛を選ぶときの基準】
- ヘアスタイル
- 髪質
- 髪の量
- 木の材質
これら4つのことを考えて櫛を選ぶと、失敗せずに自分に合ったものにたどり着けますよ!
ちなみに自分に合う櫛を選ぶことを「櫛合わせ」と呼ぶのだそうです。
なんだか風情があって良いですね。
櫛合わせ表
いくつかの老舗櫛屋さんが推奨する選び方を参考にして、表を作りました。
自分に当てはまるものを見つけてみてください!
櫛の種類 | ヘアスタイル(髪質) | 毛量 |
解櫛 細歯(歯と歯の間が狭い) |
ストレートヘア、ショート、ボブ、セミロング、細い髪 | 少なめ〜普通 |
荒櫛 荒歯(歯と歯の間が広い) |
ロング、ゆるいパーマ、太い髪 | 普通〜多め |
パーマ櫛 (歯と歯の間が更に広い) |
ロング、パーマ、太い髪 | 多め |
※パーマ櫛は、お店によって取り扱いがない場合があります。
▼以下のサイトでは、質問に答えていくだけで自分に合う櫛に巡り会えますよ。
櫛合わせ(薩摩つげ櫛 喜多)
木の種類と材質
つげ櫛の値段に一番大きく影響するのが、木の材質です。
単に「つげ」といっても品質には大きな差があります。
以下を見てみてください。
【薩摩つげ】
- 国産(鹿児島産)の最高級のつげ材
- 低い気温の中でゆっくりと成長するため年輪の幅が狭く、木目が細かく詰まっている
- そのため表面が滑らかで弾力性に富み、髪や頭皮に優しい
- 丈夫で歯が折れにくい
- 黄色っぽい色味
【本つげ】
- 海外産(東南アジア産)の輸入つげ材
- 国産の薩摩つげよりも早いスピードで成長するため、木目が荒い
- 薩摩つげと比べると表面が若干ザラつく
- 茶色っぽい色味
【あかね】
- 海外産(東南アジア産)のあかね材
- つげの木ではないが、材質がつげ材と似ている
- あかね材の櫛に「本つげ」の焼き印を押し、つげ櫛として販売されていることもある
鹿児島産の薩摩つげは品質の高さがダントツです。
こうして調べてみるまで
- 薩摩つげ=鹿児島産
- 本つげ=鹿児島以外の国産
と勝手に思い込んでいたのですが、その認識は間違っていました。
100円ショップで売られているつげ櫛で、薩摩つげが使われているものはないでしょう。
薩摩つげとの品質の違いを確かめるために買うというならアリだと思いますが、
安いつげ櫛でも油を染み込ませて使えばヘアケア効果は同じ!つげ櫛と名の付くものならなんでもいい!という人でなければ100均の櫛はオススメできません。
私が使っているつげ櫛
ちなみに私が使っているのは、鹿児島にある 薩摩つげ喜多 というお店の薩摩つげ櫛です。
- 種類:解櫛(歯の間隔が狭いもの)
- 大きさ:3.8寸(約11.5cm)
のものを使っています。
値段は 6,264円でした。
最初は少し小さいかな?と思ったのですが、持ち歩くにはちょうどいいサイズです。
このサイズだと、ケースのバリエーションも豊富です。
●おすすめのつげ櫛のお店

高品質なものを長く使いたいなら、やっぱり薩摩つげ櫛がおすすめです。
本当は用途に合わせて櫛を揃えられれば良いのですがそんなに気軽に買える値段でもありませんので、まずは自分が一番使いやすい一本を大事に使ってみるのが良いと思います。
中でも信頼できるお店をいくつか挙げておきますので、お店選びに迷ったら参考にしてみてください。
薩摩つげ喜多(鹿児島県)
つげ櫛の本場、鹿児島県の指宿市にあるお店です。
鹿児島県が指定する伝統工芸品のお店として認定されています。
サイトから商品を買えるので、遠方の人でも気軽に買うことができます。
ただ支払方法が銀行振込か代引きの2種類しかなく、クレジットカードは使えないのでご注意を。
送料もかかりますが、税込みで14,040円以上購入すると送料が無料になります。
よのや櫛舗(東京)
浅草にあるつげ櫛専門店。創業300年以上の老舗です。
お店のサイトでは「本つげ」と表現されていますが、鹿児島県産の薩摩つげのみを使用しているお店です。
「店頭にお越しいただき、実際に手に取ってご納得いただいた方にご購入いただきたい」という方針のもと、通販は行っていません。
お店に行って買いましょう!
かづら清老舗(京都)
京都に3店舗を構え、創業150年の歴史を持つお店です。
つげ櫛だけでなくかんざしなども種類が豊富で、どれも美しいものばかり。
オリジナルブランドのヘアケア商品やコスメも展開し、女性の美を追求しているのがわかります。
薩摩つげだけでなく、あかね材を使った安価な櫛も取り扱っています。
とはいえ職人さんがひとつひとつ丁寧に仕上げているので、安価といっても 2,000円以上の高級品です。
オンラインショップがあり、税込み10,800円以上で送料が無料になります。
最後に【つげ櫛の美髪効果と独特な魅力】
今回はつげ櫛の良さをたくさんお伝えしてきました!
最後にもう一度まとめると、
- 髪の毛がツヤツヤになる
- 静電気が起こりにくい
- 頭皮のマッサージになる
- マッサージ効果で血行が良くなり、毛根が強くなる
- 髪や頭皮の乾燥を防げる
ということでした。
職人さんが歯の一本一本を削り、滑らかになるまで丁寧に磨いて仕上げられた櫛は、良いものを手にしたときにだけ味わえる幸福感と満足感があります。
心を込めて大事に作られた櫛で髪をといていると、自分の髪を大切にしている実感が湧いてきますよ。
用途に合わせて櫛を揃えられれば良いのですがそんなに気軽に買える値段ではありませんので、まずは自分にとって一番使いやすそうな一本を使ってみるのが良いと思います。
皆さんが素敵な櫛に出会えますように!